[カプノス]たばこ情報サイト

たばこと塩の博物館に聞いた! あまりにも長いたばこの歴史・その①

『CAPNOS』でも取り上げている通り、近年のたばこシーンは加熱式たばこ、電子たばこといったデバイスの誕生で、新たな時代を迎えています。

まさに転換期と言っても良いかもしれない今、改めてたばこの歴史を振り返るべく、東京スカイツリーにほど近い場所にあるたばこと塩の博物館を訪ねました。

世界および日本のたばこにまつわる尋常ではない量の貴重な展示を拝見させていただきながら、さらに同館の学芸部長・鎮目良文(しずめ・よしふみ)さんに、あまりに長いたばこの歴史について全5回にわたって話をお聞きします。

第1回の今回は、今から1400年前、古代アメリカにすでにあったという喫煙の慣習と、世界および日本に伝播する経緯をお聞きしました。

たばこと塩の博物館

かつて専売品だった、たばこと塩の歴史と文化をテーマに1978年に設立された博物館です。長い歴史を持つたばこ、人類と深い関わりを持ってきた塩について様々な展示を行なっています。

また、不定期での特別展もあり、常に新しい発見を得られるのも同館の魅力です。

  • 住所……東京都墨田区横川1-16-3
  • 電話……03-3622-8801
  • 開館時間……当面の間、11~17時(16時30分入館締切)
  • 休館日……月曜日(月曜日が祝日、振替休日の場合は直後の平日)および年末年始
  • 料金……大人・大学生(個人)=100円、満65歳以上(個人・要証明書)=50円、小・中・高校生(個人)=50円
  • WEBサイト……https://www.tabashio.jp/index.html

喫煙の習慣は1400年以上前にすでにあった?

ーーまず、人類とたばこの最も古い関わりが始まった時期を教えてください。

鎮目良文学芸部長(以下、鎮目) 明確な時期はわかっていないのですが、メキシコ南部にあるマヤ文明の代表的遺跡の一つ・パレンケ遺跡のレリーフに、おそらくたばこを吸っているように見られるものが描かれています。

これが今のところわかっている人類とたばこの関係を示す資料です。それ以前からたばこはあったかもしれませんが、少なくともこのレリーフが描かれた600年代には、人類とたばこの関係は始まっていたと考えています。

また、今、人々が喫煙用として主に親しんでいるたばこは、ニコチアナ・ルスチカとニコチアナ・タバカムという2つの種類で、この祖先種にあたるものがアンデスの山の中にあったと言われています。

この2つの現象を鑑みて、今のところ当館では「たばこの起源は古代アメリカ」にあると認識しています。

↑パレンケ遺跡の「十字の神殿」の内陣に描かれたレリーフ(展示用に再現したもの)

↑植物としてのたばこのルーツを表示したもの。その祖先種はアンデスの山の中にありました

喫煙は「神様との交信を行うための儀式」だった?

ーー古代アメリカでは、どのようにしてたばこが吸われていたのでしょうか。

鎮目 これも実はわかっていないんですよ。

何故かと言うと、アメリカはヨーロッパが進出してきたことで、古代文明が壊されたところがあり、古代アメリカにおけるたばこの使われ方を示すものが極めて少ないんです。

ただ、ヨーロッパの人たちがアメリカに進出した際、当時のアメリカの様子を聞き書きした資料や絵文書などがあり、そういったものを類推していくと、おそらく儀式としてたばこが使われていたのではないかと思います。

11~16世紀のパイプが残っているのですが、そこには蛇などの動物がかたどられています。

マヤ文明では「神様の化身」と言われている動物がかたどられていることから、ある種「神様との交信を行うための儀式」としてたばこを吸う文化があったのではないかと思います。

さらに「治療にたばこが使われていた」というヨーロッパの文献もあり、そういった使われ方もあったかもしれません。

 

ーーこの時代のたばこはパイプでの吸引がメインだったのでしょうか。

鎮目 「パイプで吸う」「葉巻状態にして吸う」「鼻から吸う(スナッフ)」などのやり方があったようです。

また、古代アメリカ限定では、「たばこの煮汁を舐める」といった使い方もされていたようです。

ニコチンは粘膜からも体に入れられ、効果を得られる。いろんなカタチでたばこを吸う文化があったということです。

↑「神様の化身」と言われた動物や植物があしらわれた11~16世紀のパイプ

大航海時代に世界に広まっていったたばこ

ーー古代アメリカからたばこが世界に広がっていったのはやはりヨーロッパからなのでしょうか?

鎮目 たばことヨーロッパ人の最初の出会いは1492年のコロンブスの第1回航海時であったとされています。

ただ、このときは「乾いたたばこの葉っぱ」で、先住民によるたばこの利用を見たのは、エスパニョーラ島の奥地へ派遣された彼の部下であり、現地の人々が喫煙する様子を報告した」とされています。

また、15世紀半ばのポルトガル・スペイン両国による海外進出で幕を開け、17世紀半ばまで続いた大航海時代、世界中の地域がつながり、人やものだけでなく、文化や風習なども含めた様々なものが海上を行き交っていきます。

こうした動きの中で、アメリカ大陸からヨーロッパへ、またさらに世界中へと広まっていきました。

おおよそ1500~1600年代には、たばこは世界に広まっていきました。

100年という単位は、今考えると長いですが、当時で考えれば同時代的にたばこが広まっていったということです。

日本の保守層には野蛮に映る一方、いわゆる「傾奇者」にはおしゃれに映った?

ーー日本にもこの時期に伝わったのでしょうか?

鎮目 慶長の時代(1596~1615)にはすでに入ってきていたようで、当時の絵画には喫煙シーンが描かれているものがあります。

ただし、当時のポルトガルやスペインとの貿易に対し「南蛮貿易」と名付けるくらいの時代ですから、当時の日本人にとっては、新しい「喫煙」という文化は保守的な人から見ると、少々野蛮な風俗のように映ったところもあったようです。

 一方、逆に「南蛮好み」という、新しい風俗を好む人たちも一定数いたようで、ある種「喫煙」をお洒落に思う人もいたりと、様々な反応があったようです。

いわゆる「傾奇者(かぶきもの)」と言われていた人たちから見れば、たばこは新しい風俗として受け入れられたようです。

↑日本における初期のキセル

次回は日本に渡来したたばこ文化をさらに深くお聞きしていきます。お楽しみに!

次記事:たばこと塩の博物館に聞いた! あまりにも長いたばこの歴史・その②

 

▶︎ 取材記事リンク

松田義人

松田義人(まつだ・よしひと)

ヘビースモーカーで「タバコなら加熱式、電子、紙巻きなんでも来い」の編集者・ライター。一番好きなタバコは台湾の「新楽園」という銘柄。


特集


ニュース


喫煙具を知る