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『CAPNOS』でも取り上げている通り、近年のたばこシーンは加熱式たばこ、電子たばこといったデバイスの誕生で、新たな時代を迎えています。
まさに転換期と言っても良いかもしれない今、改めてたばこの歴史を振り返るべく、東京スカイツリーにほど近い場所にあるたばこと塩の博物館を訪ねました。
世界および日本のたばこにまつわる尋常ではない量の貴重な展示を拝見させていただきながら、さらに同館の学芸部長・鎮目良文(しずめ・よしふみ)さんに、あまりに長いたばこの歴史について話を5回にわたってお聞きしてきました。
第5回(最終回)の今回は、民営化になったたばこと、現在のたばこ市場について話を聞きました。
かつて専売品だった、たばこと塩の歴史と文化をテーマに1978年に設立された博物館です。
長い歴史を持つたばこ、人類と深い関わりを持ってきた塩について様々な展示を行なっています。
また、不定期での特別展もあり、常に新しい発見を得られるのも同館の魅力です。
- 住所……東京都墨田区横川1-16-3
- 電話……03-3622-8801
- 開館時間……当面の間、11~17時(16時30分入館締切)
- 休館日……月曜日(月曜日が祝日、振替休日の場合は直後の平日)および年末年始
- 料金……大人・大学生(個人)=100円、満65歳以上(個人・要証明書)=50円、小・中・高校生(個人)=50円
- WEBサイト……https://www.tabashio.jp/index.html
日本たばこ産業(JT)は世界のトップシェアに食い込んでいた!
ーーたばこが専売制から民営化されて、特に愛煙家にとっての一番のメリットはなんだったのでしょうか。
鎮目良文学芸部長(以下、鎮目) 一つは海外のたばこを輸入できるようになったことです。
もちろん、専売制の時代にも輸入自体はありました。大蔵省専売公社が窓口になっていて、輸入したい海外のたばこ銘柄を指定し、輸入することはできました。
ただし、関税が高かったため、あまり一般的ではなかったわけです。
しかし、昭和60年に民営化され、昭和62年からは、海外のたばこであっても関税を無課税にすることとなり、日本製たばこと同じような価格帯で海外のたばこを嗜むことができるようになりました。
これは愛煙家の方のメリットと言って良いと思います。
また、たばこメーカーの国際競争にも参加できるようになりました。
現在、たばこメーカーの世界シェアランキングで言うと、筆頭は中国の中国煙草総公司です。
ただし、これは国営の会社なので、民営の世界3大たばこメーカーと言うと、アメリカのフィリップモリス、イギリスのブリティッシュ・アメリカン・タバコ、そして、日本たばこ産業(JT)です。
ーー日本たばこ産業(JT)が世界3大たばこメーカーの一つなんですね。正直意外です。
鎮目 この国際的な市場を日本たばこ産業(JT)が持っているのは、民営化によって世界市場に打って出た功績だと思います。
日本の市場を見ても、まだまだ圧倒的に日本たばこ産業(JT)のシェアが強いです。
ただし、世界中のたばこメーカーがM&Aなどを繰り返すなかですので、これから先の未来はまた変わってくるかもしれませんが……。
たばこをめぐる環境の変化もとにかく早くなっている
ーー愛煙家にとって、年々肩身が狭くなっている今ですが、これから先の未来、たばこにまつわる環境はどう変わっていくと思われますか?
あるいは、たばこは人々にとってどんな存在であってほしいと思いますか?
鎮目 私はあくまでも博物館の学芸部の人間で、たばこの歴史を追いかけているだけに過ぎません。
ですので、「これからこうなるんじゃないか」といったことは言えないですね。
特に歴史を追いかけている立場の人間は、そのときどきの事象に対していつもフラットでないといけませんので。
ただ、以降はあくまでも私個人の主観に過ぎませんが、一つ二つ言えることは、日本でのたばこが民営化され、特にこの10~20年でたばこをめぐる環境は大きく変化しました。
路上喫煙禁止条例が始まったのが20年前で、以降の喫煙人口もどんどん下がっています。
歴史の変化、生活のあり方の変化のスピードがとにかく早くなっていることを実感しています。
また、私たちが想像できなかったような自然との向き合い方も考え直す時代です。
10年前の東日本大震災もそうですし、この1年の新型コロナウイルス感染拡大もそうです。
この、何をするのも難しい、考えながら生活しなければいけない時代ですので、
「人間は、どうやって穏やかに暮らしていくべきか。その方法は何か」
ということを私はずっと考えています。
わかりやすく言うと「人が抱えるストレス」はこれからさらに増えていくように思いますが、そのストレスからの逃げ道って、私はいろいろあって良いと思っています。
もちろん、他人に迷惑をかける行為はダメです。
ただ、例えばゲームだったり、音楽だったり、インターネットでYouTubeを観ることだったり、アウトドアだったり、旅行だったりっていう、日常から切り離された何かを持っておくことは、これからの時代、さらに大事なことになっていくのではないかと思っています。
その日常のストレスを回避するためにたばこというのも一つの手段ではないかと個人的には思っています。
他人に迷惑をかけないことは大前提ですが、未来の厳しい日常の中で、自分の逃げ道、脳の逃げ道としてのある種のアイテムや嗜好として、たばこが支持されていくようになると良いなと思います。
5回にわたって、たばこの歴史を丁寧に解説してくださった鎮目さん、どうもありがとうございました。
たばこのウンチクを得る良い機会となったのはもちろんですが、このあまりに長い歴史を噛み締めると、またたばこの味が変わって感じられるかもしれません。
さらに興味を持たれた方は、是非たばこと塩の博物館に見学に行かれてみてください。
▶︎ 取材記事リンク
- 【第1回】たばこと塩の博物館に聞いた! あまりにも長いたばこの歴史
- 【第2回】たばこと塩の博物館に聞いた! あまりにも長いたばこの歴史
- 【第3回】たばこと塩の博物館に聞いた! あまりにも長いたばこの歴史
- 【第4回】たばこと塩の博物館に聞いた! あまりにも長いたばこの歴史
- 【最終回】たばこと塩の博物館に聞いた! あまりにも長いたばこの歴史